5月18日講座内容
この日は試合前の実況の作り方を勉強しました。
具体的には「ゲームの見どころ」「実況テーマ」「注目選手」「自分の実況課題」などを各自事前に書き出していきました。
実況は一つのプレゼンである、ということです。
視聴者、リスナーに「こう見ると面白いですよ」と実況で提示していくわけです。
なので、視聴者の目線で見どころ、テーマを決めておきます。
そのテーマを状況に合わせて一つのシーンに落とし込めばよりわかりやすい実況となるということです。
解説者とのやり取りがあれば、解説者がテーマとなる解説が入れば、各選手はそれにどう対応していくかチェックしていくことになります。
また、自分自身がぶれずに実況できれば、解説者・スタッフとも共有しやすいというメリットもあります。
では、どのようにテーマを決めるか?
結果論ではなく、プロセスを見る!ということです。
例えば、阪神の先発は5勝・負け無しのメッセンジャー投手でした。
ここでいきなり見どころ、注目選手にしては、準備として甘くなってしまいます。
5勝はあくまで結果論、先制して守ったのか?大量点で守られたのか?などと投球内容(プロセス)を吟味する必要があります。
メッセンジャー投手対中日の相性などの相性も考えてみる。
そこに根拠としての数字も引っ張ってきてテーマが決められるのです。
ちなみに、すでに実況で活躍している先輩アナウンサーはメッセンジャー投手が前の中日戦で無失点、中日ジョーダン投手の過去の阪神戦の成績から、「投手戦になる」とテーマを決めておられました。
実際7回まで1-1の同点でしたから、テーマと試合がピタリと決まった実況となったことでしょう。
テーマを決め終えたら、実況練習です。
投手交代の際にこの日の試合経過を実況しましたが、単調なものとなってしまいました。
ここに試合のテーマを取り入れれば、内容も豊かなものになったのではと早速感じました。
また、それぞれの課題を意識しつつやっていくのですが、この日、若手である私ともう一人の受講生に必要なことが出てきました。
状況を予測する、ということです。
同点の9回裏に先頭にバッターがフォアボールで出塁したら、何と言いますか?
サヨナラのランナーが出ましたという一言は欲しいですよね。
これと同様に同点のランナー、勝ち越しのランナーも言えるようになるということですね。
ここでフォアボールが出たらどうなる?だとか、そのランナーに代走が出たらどうなる?とか……
このどうなる?という考えが実況の準備に繋がるのです。
実況は一つの見方だけでは伝えられませんね。
試合前も試合中もいろいろな角度から見て、より良い実況を目指していきます。
「スポーツアナウンサーの独り言」by受講生 松下翔