インタビューにおけるストーリー性
実況における「ストーリー性」は度々話題に挙がります。
では、インタビューにおける「ストーリー性」とはなんでしょうか。
そもそも、「ストーリー性」とは、そのチームの「流れ」もしくは「物語」です。
担当する試合だけでなく、直近の試合は勝っていたのか、ホームでは負けなしなのか。怪我人がいるのか。試合の前後を考え、流れを構成する要因を挙げればきりがありません。更に視野を広げると、今年はこのチームにとってどのような年なのか。周年記念であったり、エースナンバーの引継ぎがあったりとまさに「チームとしての物語」です。
直近で2度、J1でのインタビューを行いました。
1度目に行ったインタビューは、中継として孤立していました。孤立、というのは自分で考えた内容のみだったということです。自分でのポイントやチームの流れは踏まえていますが、あくまでも「自分の中で」のことであり「中継全体として」でのインタビューになっていませんでした。
その点も踏まえ、挑んだ2度目の試合。まず、気を付けたのが「他の人の話を聞くこと」です。中継スタッフは今日の試合をどう考えているのか、解説実況はどう試合展開を思い描いているのか。
また、中継の冒頭部分、選手のバス降りやサポーターの様子が映っている部分で実況が何を言っているのかにも注目しました。個人的にそこはリード部分、実況がこの試合をどう見ているのかを提示している部分だと考えたからです。
そして、試合終わりのインタビューに関しても解説実況の意図を汲み取るように意識していました。特に繰り返していた話題。単語や選手名などに注目し、インタビューの文言にも盛り込みました。
思い返すと「とにかく解説実況の話を聞く」というのは私がJ1デビューをする際に、何度も言われていたことです。今回この反省ができ、まさに初心に帰る思いでした。
中継というのは一人で行うものではありません。
今回の経験を活かし、もう一度インタビューそのものについて見直せました。またここから、より積み上げができるよう「チームとしてのストーリー性」そして「中継としてのストーリー性」を意識して取り組んでいきます。
2024年05月16日 12:57