一回で分かる文章の重要性
今回のテーマは『一回で分かる文章』です。テーマに合わせ頭から分かりやすく始めてみました。これは今週の講座の中で挙がったテーマです。実況、そして、インタビューの中でも取り上げられた話題でした。
実況においては、常に状況が変わっていく試合の中でどのようにして情報を伝えるかがポイントになってきます。今の季節ですと、シーズン終了間際のスポーツもあります。そのため「優勝条件」「昇格条件」「降格条件」などを伝える必要も出てきます。
例えば、Aと言うチームは今日この試合に勝つと優勝が決まる。そんなAが先制をしました。すると「得点シーンの描写」「このまま試合が終われば2位チームとの差が広がり、2位チームの優勝の可能性が消滅する」「そのためAは今日優勝が決まる」「初優勝もしくは〇回目の優勝」などの情報を伝える必要があります。恐らく、実際はチームの情報や選手の話など話題は沢山あるでしょう。しかし試合は刻一刻と動き、状況は変化します。ですので長々と話す時間はありません。ここでポイントとなるのが今回のテーマである『一回で分かる文章』です。
例えば、優勝のかかった試合の先制シーン。皆さんならどのような実況をしますか?
仮に「Aが初優勝に大きく近づく先制!」と入れたとします。すると即座に「Aが先制した」「Aは初優勝の可能性がある」「しかも話題にするという事は、初優勝はここから近しい未来に起こる可能性がある」との情報を伝えることが可能です。短い文章でも、ある程度の情報を詰め込むことは可能、という事ですね。
また、最初に『一回で分かる文章』を持ってくるというのも大切になってきます。なぜなら前述の通り、状況は変化していくからです。選手のパフォーマンスがあるかもしれませんし、いつもは感情を出さない監督が大きくガッツポーズをする、なんて事もあるかもしれません。次の瞬間に何が起こるか分からない、だからこそ端的に分かりやすく情報を伝える必要があります。それだけでなく、最初に伝える事で視聴者の頭にも一番重要な部分が残りやすくなります。
講座の中ではインタビューにおいても同じ、と言う話も出ました。質問の文章の頭に重要な単語を持ってくる。「優勝に近づく勝利となりました。見事でしたね!」など、主題を最初に持ってくると答える人にも「この事について話せばいいんだな」というのが伝わりやすくなります。
『一回で分かる文章』は短くはありますがそこには多種多様なものが込められています。文章を短くするための言葉選びであったり、理解しやすい言葉の組み合わせであったり、話題の選択であったり、そしてチームや選手、実況者の思いであったり。それだけに難しくもありますが、言葉を使う面白さもあります。
速い展開の試合を『一回で分かる文章』で表現する。その二つがピタッと嵌れば、人の記憶に残る実況になるのかもしれません。
2023年11月09日 12:08