ユウセイスポーツアナウンススクール|プロのスポーツアナウンサー養成・講師派遣

スポーツアナウンサー・タレントスキルアップ・アスリートなどの"本物"を目指す方へ!

ユウセイプランニング

HOMEブログページ ≫ 6/1講座ブログ「選択と集中・私の場合」 ≫

6/1講座ブログ「選択と集中・私の場合」

6/1の講座では、サッカーの振り返りや他競技にも通ずる試合前後の取材についてなど様々な悩みや相談を共有し合いました。立場上、私も取材では色々思い悩む部分もあり、競技としてはサッカーがテーマでしたが、私にも参考になりそうなお話が幾つか出てきました。
 
そして、終盤に私の実況も見てもらいました。
5/27に行われた競馬の「葵ステークス」という重賞レース。比較的短い1200mの距離に18頭という日本競馬では1番多い頭数の出走です。レースはほぼ70秒足らずで終わってしまいます。最後の直線大体20秒を差し引くとおおよそ45秒で18頭を紹介せねばなりません。さらに馬名を言うのみならず、人気馬はどこにいて先頭までの差はどうか、その他道中のペースなどラジオ実況ならではの厚みも持たせたい。毎度意識していることを、短距離のレースではよりスピーディーに、何なら削らなければならないところは削って、レースに挑みます。
そしていざレース…のはずが放送上の進行面でうまくレースに入れず、精神衛生上あまりよくない状況で入ってしまいました。
それよりも一番驚いたところ、それは4番人気馬・武豊騎手鞍上の⑬モズメイメイの“ロケットスタート”でした。ゲートが開くと同時に2馬身ほど他馬を凌駕する、おそらくこれまでに見たことがないほどのスタート。内の逃げ先行馬を軽々抑えてペースを握ることに成功したのでした。
この時、私は一瞬「スタートのやり直し(馬が前扉を蹴ってしまった可能性)」もよぎりましたが、とにかくこのスタートは大事だ!という選択をして、騒然の場内、そして自身の驚きを交え、10秒近く描写しました。しかし、先にお知らせしたように、ここで10秒もかけていたら…そうです、他の17頭を早く捌かねばと焦っていました。もちろんそれでも大事だと思い長く描写することを選択したのです。ただ、特に直線が迫る4コーナー手前・残り600~400mで何度も同じワードが飛び出しました。その分、馬の名前を言えたはず。聞き直しても自らの焦りがわかりました。結果的に直線までに18頭全て網羅することはできませんでした。「直線が来ちゃう」という余計な焦りで集中力が欠如していたかもしれません。
レースは結果的にロケットスタートを切ったモズメイメイがそのまま逃げ切り勝ち、圧倒的な支持を受けた1人気ビッグシーザーや2人気のルガルの追い上げを、あのスタートから見せた抜群のスピードで封じ込めたのでした。
あくまで結果論ですが、ロケットスタートがこの勝負を分けました。そしてスタートしてからゴールするまでスタンドがどよめきっぱなしという、私も感じたことのない競馬場の雰囲気。これを長く描写しましたが、その分レース全体の描写はスムーズとは言えませんでした。雰囲気に飲まれたと言えばそうかもしれません。そして削るべき点の判断も誤ったと思います。
あのスタートにもフォーカスをして、尚且つ全馬の位置取りをしっかり伝え、そして最大の見せ場である直線を目一杯盛り上げる。今回はそのバランスを考えさせられた、いや武豊騎手とモズメイメイが教えてくれた1戦でした。
ゴールから逆算してどこかからどれくらい表現する暇があるか、今回のようなスタートがあるなど、その配分を変えるという頭・心のゆとりがあるか。
このところ他の方もこのブログでそういった精神面の課題のお話もされてましたね。もちろん精神面ではあるのですが、その前にしっかり、より突き詰めて考える・対策ができていたのか。
競技や内容は違えど、似たような、同じような課題に向き合う皆様とその課題を共有し、アドバイスをもらえる場はとても貴重だと今回も感じました。


三宅 秀一郎
 
2023年06月09日 15:07

有限会社ユウセイプランニング
ユウセイスポーツアナウンス講座
大阪教室

〒530-0047
大阪市北区西天満5-4-13
ユリスト西天満503
会社概要はこちら
特定商取引法に関する表示

モバイルサイト

有限会社ユウセイプランニングスマホサイトQRコード

スマートフォンからのアクセスはこちら