中継から紐解く様々な目線
戻り梅雨もありスッキリしない天候の中でも全国的に高校野球の大会をはじめ、スポーツが多くの人たちを楽しませています
スタジアムやアリーナ等現地で触れる事ができる熱と近い状況を中継を通して伝えるために私たち実況アナウンサーも様々な準備を行います
準備と同様に振り返りも非常に大切です。この振り返りを私は「次のための準備」に位置付けて取り組んでいます
先日Jリーグ公式映像DAZNにて担当した京都サンガFC対サンフレッチェ広島の一戦を講座の中で取り上げ、他のアナウンサーの皆さんと振り返りました
特に印象深かったフィードバックは
・実況、解説、視聴者の目線をより意識する
・エネルギーの分配を考える
という点でした
1つ目の「実況、解説、視聴者の目線をより意識する」という点はもちろん中継前に心掛けて臨んでいる要素の1つです
ただ、いざ中継がスタートすると選手を追い、解説の方とコミュニケーションを図り、正しい情報を伝えようとするあまり視野が狭くなっている事に気づきます
昨日も振り返りの中で、「今の解説の方とのやりとりを視聴者は1回で理解できたかな?」という問いをいただきました
視聴者の方はしっかりと理解できているのだろうか?
もっとより伝わりやすい表現を引き出す問いはなんだろうか?
その実況中では至る事ができなかった考えや視点を、その問いから改めて考える機会を持てました
ではどうすれば実際に行動に移すことができるのか?
それが2つ目のエネルギーの分配を考えるという視点です
選手を追う、解説の方とコミュニケーションを図る、視聴者目線で情報を伝える等、実況中はその他にも多くの事に対して神経を使います
自分自身で何を優先して行動しているのか?という傾向が過去の中継の振り返りからも見えてきました
より良い中継にしていくために、どこに対してより力を割くのかというエネルギーの分配を見直し、自分自身の得手不得手と照らし合わせて臨んでいく重要性を感じました
近江商人の言葉で「売り手より、買い手よし、世間よし」という三方よしの考え方があります
中継の中でも様々な目線を意識しながら、「話し手よし、聞き手よし、世間よし」という三方よしを目指して、よりよい中継に取り組んでいきたいと思います
Kotokake 能政夕介