5月9日アナウンススクール内容
今週も受講生ブログをご覧くださいましてありがとうございます。
5月9日は三宅きみひとアナウンサーによるアナウンススクールが行われました。
三宅秀一郎アナウンサーと私の2人が出席し、競馬実況の集中講座になりました。
先週5月5日(日)では、MBSラジオ「GOGO競馬サンデー!」にて、
三宅秀一郎アナウンサーが東京競馬場からG1・NHKマイルカップを実況しました。
まずはその実況を振り返りました。
アドバイスを送る三宅きみひと先生と振り返りをする三宅秀一郎アナウンサー、
ハイレベルな話が展開されていきます。
アナウンサーは実況を聞くだけでは想像もつかないことを技術化し、それを数多く持っています。
そして様々なことに気を配り、わずか1・2分のレース実況に臨むのです。
アドバイスの中には実況前に優先順位を整理することの大切さがありました。
その後、私も映像を使ってNHKマイルカップを実況練習しました。
その場で録音を聞き直すと、2人の感想は見事に一致しました。
「馬の隊列を紹介する際に、圧倒的1番人気の馬が注目されているように聞こえない」
「どう聞こえるか?」という音声表現の観点で、
強調することなく、他の馬と同列に喋っていました。
ニュース原稿に例えると、「このニュースの一番大事なところが伝わっていない」状況です。
ここでは2つの課題が考えられます。
(1)注目馬(実況テーマ)を事前に言っておきながら、実況で注目馬・テーマを忘れている
(2)注目馬について、注目してもらえるアナウンスができていない
(1)については、レースがスタートする前に30秒ほどの実況を行いました。
そこで「2強ムード漂うNHKマイルカップです」と“実況テーマ”を話してから、レース実況に臨みました。
つまり実際のレース中でも、2強の2頭を強調して伝えなければ、
「スタート前の2強ムードとは何だったのか?」と意味がなくなってしまいます。
競馬でも野球でもサッカーでも、自分で設定したテーマの回収は非常に大きな意味を持ちます。
自分で設定したテーマを忘れてしまう原因には、別のことへのエネルギーの消費が考えられます。
今回は、映像に合わせて馬を前から順番に紹介すること(=馬を追うこと)で手一杯だったのです。
その解決策は、馬を追うことにエネルギーを使わないように、
練習で他のこと(実況テーマ・発声など)に意識を増やし、負荷をかけることです。
今の練習方法が楽になっていないか、こなすだけのもになっていないか、
練習の中身にも定期的な振り返りが必要です。
(2)については、競馬実況に限定しない問題です。
まず名前は明瞭に言うのは大前提として、もう少し踏み込んでみます。
人気を集めている、7番の馬のグランアレグリアを強調してみましょう。
・『圧倒的1番人気の』7番グランアレグリア
言葉として修飾をすれば、グランアレグリアという馬が注目馬だと分かります。
強調する方法は、言葉で修飾するだけではありません。
音声で表現すること、音の高低・強弱、間・緩急を使うことも大切です。
音声表現が足りないと、悪い意味で淡々とし、山場がなく聞こえます。
最近私の受講生ブログでよく出てくる「メリハリ」です。
エネルギーの使い方や現在の練習方法、自分の声の聞こえ方について、
よりチェックの感度を高めます!
松下 翔