12/14受講生ブログ G1レース実況を終えて
12/14受講生ブログ G1レース実況を終えて 受講生ブログをご覧いただき、ありがとうございます。 今週は、松下翔が担当いたします。 今年6月に初めてサッカー実況を行いましたが、また“初実況“の経験をいたしました。 先週、12月10日（日） ラジオ大阪（AM1314kHz／FM91.9MHz）「OBCドラマティック競馬」にて、 阪神ジュベナイルフィリーズ（阪神JF）のG1レースの実況を担当いたしました。 G1レース（G1）とは、各カテゴリーのナンバーワンを決めるレースです。 JRAでは年間、およそ3450競走が行われていますが、G1は26競走しかありません。 各陣営、最大目標に掲げるのがG1です。 今回は、阪神JF・2歳女王決定戦の実況という大役を拝しました これまで、グレードレース（重賞）を含むメインレースは経験がありました。 さらに、今年はありがたいことにメインレースの実況機会も増え、「メインだから」という特殊な緊張もなくなってきました。 出走馬がコースに入ってくる際に、「これが晴れ舞台なのだ」と心にグッとくるものがあったのも十数秒、 普段と変わらず準備を進めていきました。 G1といえば、G1限定で演奏されるG1ファンファーレです。 スタンドにいるファンから拍手・歓声が湧き起こりますが、こちらでは意外にも（？）冷静に聞いていました。 （マイクがオフになることを利用して、各馬の倍率をチェックしたり、次に喋ることの書類を整理したりしていました） G1が他のレースと決定的に違う点の一つに、各馬のゲート入りが時間をかけて行われるということがあります。 枠入り時間に余裕があるので、大事なところは原稿を準備しておりました。 しかし、想定内だったのは、ここまでした。 長いはずだったゲート入りの時間は、どんどんと過ぎていき、枠入りは最後の1頭に。 あっという間に、スタートが切られました。 「スタートする際にどの馬に目をつけておくか？」 スタートに一波乱あったとはいえ、競馬実況デビュー時に、毎回取り組んでいたことができなくなっていました。 競馬では、馬の前進気勢が強く、騎手との呼吸の調和が合っていないことを“かかる”と言いますが、 私の実況も自然と前へ前へと行きたがり、"かかって"いました。 本来なら、一呼吸入れたいところですが、それもうまくいきません。 そして、最後の直線、競馬実況をスタートして4年目、初めて経験するその瞬間が訪れます。 「声が出ない！」 ゴールまで残り300m、先頭を走る人気薄の馬が2・3馬身リードを保っていると思いきや、 残り200ｍ過ぎでは、外から伸びる人気の２頭が一変に前に出ようとしているではありませんか！ 「（先頭が）変わった！」と言ったところで、声量のマックスを超えていたのです。 勝負は残り200mから見応えのある接戦になりました。 ゴールまでのクライマックス、馬名を連呼したいところなのですが、 こちらの“アクシデント”もあり、口数を減らし、馬名をゆっくりと喋るという応急処置で、ゴールを迎えました。 他にも、振り返りたいことはまだまだあるのですが、書き切れないので、ストップいたします。 別の競技では決勝戦にあたるのがG1です。 そのパワーに圧倒された実況となりました。 そんなG1初実況が私に教えてくれたことは、2つあります。 1つ目は、自分の実力。 先ほどは、特に緊張もすることなく…などと、申しておりましたが、実際のレースはしっかり緊張しておりました。 「あなたの実力はまだまだこんなものですよ」と諭された気持ちでした。 2つ目は、「肝心要の時に現れるのは、これまで自分が行ってきた練習の結果である」ということ。 身に染みる「基礎練習の大事さ」でした。 せっかくの機会、手前味噌で恐縮ですが、プラスの反省もしておきましょう。 レースのラップタイム（前半600mの通過タイム）を伝える際に、「ミドルペースだ！」と実況しました。 普段、「～～か？」「どうやら～～のようです」「～かもしれない」と予防線を張るあまり、聴取者にとってわかりにくい表現をする癖があるのですが、 ここは、「余計な言葉を使っている場合じゃない」「レース実況が最優先」と判断したのでしょうか、自分でも珍しいくらいに言い切りました。 G1が、今の実力を教えてくれたと同時に、新しい自分を発見する手助けもしてくれたと思っています。
松下 翔
